うさぎの”歯は命”
草食動物であるうさぎさんの体には、体重の約10〜20%を占めるほどのと〜っても長い消化器官があります。
そして、この消化器官の動きが止まってしまうのが、”うっ滞”という病気です。
うっ滞は、うさぎさんが亡くなってしまう原因となる非常に大変な病気です。
うっ滞にならないためには、消化器官を常に動かしてあげる必要があります。
そのためには、うさぎさんの主食である牧草をよく食べてもらわなければなりません。
飼い主は、うさぎさんがどんなものを食べているのか気になり牧草を食べてみたことがあります。
牧草は、硬いです。
うさぎさんが牧草を食べるときは、この硬い牧草を前歯で噛み切り、奥歯ですり潰して食べます。
そうです。つまり、歯が健康でなければ、牧草をうまく食べることができなくなってしまうんです。
そして、それは愛するうさぎさんの健康を害することに繋がり、死を招くことにもなりかねません。
まさに、うさぎさんにとって”歯は命”なんです。
だからこそ、巷では牧草の種類がたくさん売られているんですね。
定番の1番刈りだけでなく、2番刈りや3番刈りがあるのは、年を取ったり病気で硬い牧草をうまく食べられない子でも、牧草を食べることができるように。
とにかく、食べてもらうことがとっても大事です。
うさぎの歯の仕組み
うさぎさんは、全ての歯が常生歯といって一生伸び続ける歯をもっています。
放っておくと、1年に10センチ以上も伸びてしまうんです。
1度だけ、野生のうさぎさんで歯が伸び続けてしまって口から飛び出している子を見たことがありますが、非常に危険ですし可哀想でした。。
本来は、ものを食べたり、齧ったりすることで歯は削られていくので、口から出てきたり、悪さをすることはありません。
しかし、例えばですが、食べ癖や普段食べている物のせいで噛み合わせが悪くなってしまうと、食べ物をうまく噛み切れなかったり、すり潰すことができなくなることがあります。
それだけではなく、普段使えていない歯が伸び続けてしまい、口の中を傷つけてしまうため痛くて食欲が落ちていくこともあるんです。
うさぎさんの歯は、全部で28本あります。
前歯である切歯が6本と、奥歯である臼歯が22本です。
歯の本数を知った時に最初に思ったのは、前歯が6本?!4本じゃないの?!ということです。
上下2本ずつで、4本かな〜と想像していたのですが、違いました。
上顎には、前に2本、後ろに2本の計4本あるんです。上顎の4本と下顎の2本、このしっかりとした6本の歯があるからこそ、硬いものを噛み切ることができるんですね。
臼歯の役割は、上述したようにすり潰すことです。
ものをすり潰すことで、上下の歯が擦れてすり減っていき伸びすぎを防止してくれます。
可愛いお口が左右に動いているのがわかるかと思います。
顎を左右に動かすことで臼歯で食べたものをすりつぶしているんですね。
この左右の動きがしっかりできていないと、歯と歯の擦れ方が疎になってしまい、噛み合わせが悪くなってしまうことにつながります。
そのような事態を防止するためには、繊維質の多いもの(牧草)をしっかり食べてもらうことや、硬めのペレットを選ぶことなどが考えられます。
口の中ですぐ崩れてしまうような柔らかいものばかり食べていると、歯ですり潰すということがないので歯が伸び続けてしまい非常に危険です。
もしも、お家のうさぎさんが牧草を食べなくなったり、減りが遅くなったりしたときは歯に異常があるという可能性もあるので、動物病院で診てもらうといいかもしれません。
本来は、2〜3ヶ月に1度くらいのペースで定期健康診断に連れて行ってあげるのが良いのでしょうね。
我が家は最近引越しをしたのですが、幸いなことに車で30分程度のところにうさぎを専門に研究されている先生の病院があるので、検診に連れて行ってあげようと思います。
さいごに
私たちから見ると、牧草なんて美味しくなさそうですよね。
そんな味気のないものより、ついつい喜んでくれるおやつや、果物なんかをたくさんあげたくなってしまいます。
そういった食べ物も、物によってはたま〜にあげるくらいなら良いと思います。
しかし、そういったものはうさぎさんの消化器官に負担をかけるだけでなく、あまり歯を使わずに食べられてしまうことが多く、うさぎさんの健康にプラスになるとは言い難い場合があることも頭の片隅においてあげるといいかもしれません。
最後に、私がなぜこんなことをしつこく言うのか。
それは、私自身がうさぎさんの歯の異常に気づいてあげられず、大切な大切な家族を失ってしまった経験があるからです。
どんなに想っても、後悔しても、泣いても、謝っても、亡くなってしまったあの子はもう戻ってきません。
もっと早く気づいてあげられれば・・・
そんな後悔から、自責の念から、2度と同じことをしないように、同じような思いをするうさぎさんが少しでも減ってくれるように、そんな思いでこの記事を書きました。