うさぎは、犬や猫に次いでペットにされる人が多い小動物です。かわいらしいうさぎが帰宅したときに出迎えてくれたら癒されます。しかし、うさぎを飼育するのは大変です。犬や猫よりも表情に現れづらく、病気や怪我に気付くことが遅れます。重症になってから気が付き、手遅れになることも少なくありません。うさぎをペットにしたいと考えている人は、病気や怪我について勉強をしておきましょう。
そこで今回は「うさぎがかかりやすい病気や怪我10選!こんな症状の際は要注意」を解説します。飼い主が気付かなければ病気や怪我は進行をします。注意すべき症状を把握しおくことが大切です。
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うさぎがかかりやすい病気や怪我10選
うさぎがかかりやすい病気や怪我10選は次のとおりです。
- うっ滞
- 開帳股
- 骨折
- 子宮癌
- 斜頸
- スナッフル
- ソアホック
- 尿路結石症
- 熱中症
- 不正咬合
症状と合わせて解説をするので参考にしてください。
うっ滞
うっ滞(毛球症)は、消化器疾患のひとつです。うさぎは、寝ている以外の時間帯は常に食べ物を食べ続けます。草食動物であることから、低栄養素の食べ物を効率良く消化し利用しなければいけません。そのため、うさぎの消化管は特徴を持っていることから消化器疾患が非常に多く、その中でもうっ滞は特に注意が必要です。
うっ滞の症状
- 食欲の低下がみられる
- フンが普段よりも小さい、もしくは量が減少した
- 複数のフンが毛でつながっている
- うずくまったまま動かない
- 触ると腹部に張りが感じられる
上記の症状が見られたら要注意です。ひどくなると痛みを我慢するため歯ぎしりをするうさぎもいます。フンとして排出されないことで腸内ガスが停留し、膨張した消化管が体内の血管を圧迫しだすと危険です。ショック状態に陥り最悪の結果を招く恐れもあります。
うっ滞の原因
うっ滞の原因はストレスです。寒暖差や食事、動き回れないなどのストレス消化器官の働きを低下させます。以前は飲み込んだ毛が固まることで発症すると考えられており、病名も「毛球症」と呼ばれていましたが最近は呼ばれていません。うさぎの胃の中には、正常時でも毛があります。問題なのは消化器官が正常に働かない状況、ストレスによるものと考えられているのが現状です。
治療は消化機能の働きを正常に戻すことを目指します。しかし、ストレスの原因をハッキリさせなければ完治しません。医師にどのような飼育状況かを説明し、適切なアドバイスを受けることが大切です。
開帳股
開帳股は、肢が外側にひらいてしまう病気です。幼いときに生じることが多く、適切に処置をしなければ一生歩行ができなくなるかもしれません。
開帳股の症状
- 姿勢がおかしい
- 肢が外側に滑り広がってしまう
開帳股は複数の肢に発症することもあります。一カ所とは限りません。生後3カ月の離乳期に症状があらわれることが多く、ゆっくりと進行します。成長をすると進行がストップすることもある病気です。
開帳股の原因
- 遺伝性の神経障害
- 股関節脱臼
- 亜脱臼
- 発育不全
- エンセファリトゾーン原虫の寄生による感染症
遺伝的な原因が多く見られるため予防対策は難しいです。有効な治療方法も見つかっておらず、テーピングなどで治療をします。また同じような症状でも開帳股と決めつけることはできません。筋肉や神経系の異常が確認できる可能性もあります。いずれにせよ病院につれていくことが必要です。
骨折
うさぎの骨は空気を多く含んでおり「含気骨」と呼ばれています。骨密度が薄く折れやすいのが特徴です。飛んだり跳ねたりするイメージが強いですが、骨はもろいので注意をしましょう。
骨折の症状
- 骨折した足を浮かしている
- 足を引きずっている
- 飛び跳ね方がいつもと違う
- まったくと飛ばない
- 動かない
骨折は足だけではありません。全身が含気骨なので、腰椎や脊椎を痛めることもあります。足は気が付きやすいですが、別の箇所になるとわからないかもしれません。動かない、飛ばないなどの症状が見られたときは、すぐに病院へ行くことが大切です。
骨折の原因
- 高いところから落下した
- 高いところから飛び降りた
- ケージやカーペットに足をひっかけてしまった
飼い主が立ったままの状態で、うさぎが暴れ落下した拍子に怪我をすることがあります。また、うさぎ自らテーブルなどの高いところより飛び降りて、怪我をすることもあるようです。怪我をするのは見ているときとは限りません。違和感を覚えたらすぐに病院へ行きましょう。
子宮癌
うさぎは小型の草食動物なので、優れた繁殖力を備えています。しかしペットとして飼われているうさぎは、妊娠をする機会がありません。ホルモンバランスが崩れ子宮癌を発症します。
子宮癌の症状
- 血尿
- 陰部からの出血
- 貧血
- 食欲低下
うさぎは子宮癌にかかりやすい動物です。ただ、血尿が見られたからと言って子宮癌と断定はできません。普段から赤い色をした尿をします。判断が難しい場合はすぐに病院で相談をしましょう。
子宮癌の原因
子宮癌の原因はホルモンの不均衡と言われています。繁殖の予定がないのならば、子宮癌を予防するためにも避妊手術が必要です。ホルモンバランスによりイライラするうさぎもいます。飼い主とのコミュニケーションが取れなくなる可能性もあるので、できれば2歳までの間に手術を済ませておきましょう。他に予防策はありません。手術をしない場合は、血尿などの異常を見逃さないようにしてください。
斜頸
斜頸とは、首が左右どちらかに曲がり「首をかしげている」状態が維持される病気です。
斜頸の症状
- 首が傾いている
- 頭が揺れている
- バランスを崩している
- ローリング(体が回転)する
- 目が左右もしくは上下に動き揺れている状態がつづく
- ふらついている
上記の症状が見られたら要注意です。中には突然床をバタバタと転がり回るうさぎもいます。病気が進行している状態です。コロコロと転がり回ることで、ゲージに引っ掛け怪我をする場合もあります。転がり始めたときは、すぐに抱きかかえ声をかけてあげましょう。落ち着きが見えたら一刻も早く病院へ向かってください。
斜頸の原因
- ある種の菌などによる内耳の病的な変化
- エンセファリトゾーン(寄生虫)が引き起こす脳炎
上記は一般的な理由と言われていますが、正確な原因はわかっていません。症状が軽い場合は完治も見込めますが、後遺障害を残す危険も伴う病気です。多くは症状コントロールを続けることで様子を見ます。
スナッフル
うさぎが鼻を「ふんふん」いわせるしぐさは可愛いですが、もしかするとスナッフルという病気かもしれません。うさぎが鼻を鳴らす理由は感情表現と言われています。鳴き声が目立たないうさぎは、鼻で「うれしい」「楽しい」「威嚇」などのサインを表すのです。
斜頸の症状
- 咳やくしゃみをする
- 鼻水がでている
- 呼吸をするたびにズーズーといった音が聞こえる
- いびきをするようになった
- 目ヤニが多い
初期の症状は透明な鼻水などですが、進行すると黄色や白などでドロドロしてきます。くしゃみを頻繁にするようになると注意です。重症化すると呼吸困難になり命に関わってきます。
スナッフルの原因
- 生活環境や温度の変化によるストレス
- 呼吸器系の細菌感染(パスツレラ菌、黄色ブドウ球菌、気管支敗血症菌など)
- 感染をしているうさぎからの飛沫感染
多頭飼育をしている人は注意が必要です。他のうさぎから飛沫感染をします。咳やくしゃみをしているうさぎがいたら隔離をしましょう。ただ感染しても必ず症状がでるとは限りません。「ストレス」「衰弱」「不衛生」により菌が繁殖して発症します。基本的には投薬治療になりますが、頻繁に発症する場合、飼育状況の見直しが重要です。
ソアホック
ソアホックは足の裏の毛が抜け、赤く炎症を起こす病気です。特にかかとの部分に見られます。
ソアホックの症状
- 足裏を覆う毛が薄い
- 足裏が炎症を起こし赤くただれている
- 足をひきずるように歩いている
- 食欲がない
死に至るような病気ではありませんが放置をすると重篤化します。食欲がなくなれば、他の病気を発症するかもしれません。初期に気が付くことが大切です。毛が薄くなており足をひきずるようにしていると既に炎症を起こしています。うさぎを抱っこしたときは、足裏の毛を確認しましょう。ただしうさぎによっては抱っこがストレスになるかもしれません。抱っこを嫌がるうさぎの場合は、定期的に足を見てあげるようにしてください。
ソアホックの原因
- 足に負担がかかっている
- 生まれつき足裏を覆う毛が薄い
- 長い爪
- 衛生的ではない環境の水や尿による湿り
- 太りすぎ
- スタンピング(足ダン)による摩擦
悪い飼育状況により発症するケースが多く見られます。うさぎの足に負担がかかる床材ならば、マットやカーペットを引くようにしましょう。爪にも注意が必要です。衛生的な環境づくりが予防につながります。ストレスによるスタンピングにも要注意です。
尿路結石症
「腎臓」「膀胱」「尿路」などに結石ができる病気です。石ができる場所により呼び名が変わります。
尿路結石症の症状
- 「頻尿」「血尿」「発熱」などによる食欲不振
- 痛みによる歯ぎしり
- 排尿時の痛がる仕草
尿道が詰まると命に関わるかもしれません。尿により老廃物の排出ができなければ「尿毒症」「膀胱破裂」「腎不全」が進行します。初期で気が付けるかが重要です。日ごろから尿の回数や色を観察しておくようにしましょう。
尿路結石症の原因
- 細菌の尿路感染
- 塩類の過剰摂取
- 飲料水の減少
- 不適切な食生活(カルシウムやタンパク質の過剰摂取)
水分の不足や食事が原因で発症することが多く見られます。すぐに水か飲める環境の構築、適切な食生活をこころがけてあげましょう。発生した場所によっては外科手術が必要になるかもしれません。体にも負担がかかります。普段からの予防対策が必要です。
熱中症
うさぎも人と同じように熱中症をおこします。人よりも暑さに弱い動物なので、夏場の飼育環境には注意が必要です。
熱中症の症状
- 身体を伸ばしながら異常なほど呼吸をする
- 大量なよだれ
- 耳が赤い
- ふらつき、けいれんなどによる起立不能な状態
熱中症は死に至る可能性もある危険な病気です。異常なほどの呼吸は熱を逃がそうと、うさぎが必死になっています。飼い主は、荒い呼吸の段階で気が付かなければいけません。呼吸で体温調整が間に合わないと、よだれを垂らし耳が赤くなり衰弱しはじめます。ショック状況を起こすことで死に至る病気です。
熱中症の原因
うさぎは体温調整が苦手です。人のように汗で熱を逃がすことができません。耳で放熱ができますが、耳が小さいうさぎもいます。気温が28度を超える環境に放置するのが主な原因です。
熱中症を予防するために、うさぎに適した温度調整をしましょう。理想は18~24度です。飼い主が長時間外出することで、異変に気が付けない場合もあります。常に温度には気を付けることが大切です。少しでも熱中症の症状が見られたときは、濡れたタオルで体温をゆっくりと下げてあげましょう。急激に下げるのも危険です。ゆっくりと体温を下げながら、念のため病院に向かってください。
不正咬合
不正咬合(ふせいこうごう)とは、歯のかみ合わせが異常になった状態を指します。うさぎの歯は生涯伸び続ける常生歯です。良く噛んで食事をすることで、歯をすり減らしながら適切な長さを保ちますが、なんらかの原因により噛み合わせが悪くなると、歯に異常をきたします。
不正咬合の症状
- 食事が食べにくそうに見える
- よだれが流れる
- 食欲の低下
- 頻繁に歯ぎしりを行う
不正咬合になると、痛みによりストレスの発生や食欲不振に陥ります、不正咬合が直接命に係わることはありませんが、別の病気を発症させるかもしれません。早期の治療が重要です。
不正咬合の原因
- 噛む必要がない食事ばかり与えている
- ケージなどの噛み癖
- 外傷による歯のずれ
- 遺伝
食事は牧草を食べてもらうようにしましょう。噛む動作をさせることが大切です。また、落下したときに歯がずれることもあります。高いところから落ちたときは骨折を疑うともに、その後の歯の長さにも注意が必要です。症状がみられるときは、病院で噛み合わせの悪い歯をカットしてもらいましょう。状態に応じて、抗生物質を投与されることもあります。
まとめ
「さぎがかかりやすい病気や怪我10選!こんな症状の際は要注意」を解説しました。うさぎの平均寿命は7~8歳です。最近は良い飼育環境により10歳を超えるうさぎも増えてきました。飼い主の飼育環境が寿命を延ばします。
うさぎを飼育する人は普段から触れ合うことで、いつもと違う症状に気がつくことが大切です。普段と違う症状が見られた時は、早めに病院で相談をしてください。